(文責:古谷、森田)
初回のサブゼミでは、リアリズムについて全体で要点を確認し、その後二年生と三年生一人ずつを組にしてチューター制とし二年生の疑問・相談を消化する機会としました。
タイムテーブル
①レジュメの書き方のアドバイス(10分)
②リアリズム要点確認(20分)
③チューターによる個別質問(60分)
以下、リアリズムの要点確認に用いたレジュメです。
リアリズム
リアリズム…無政府世界の動きを国益やパワーから読み解こうとする理論
・最大の利点
→繰り返し起こる国際関係のパターン化された現象をより簡潔に説明できること
→できる限り価値判断を下さないようにしながら、国際関係の出来事の因果関係を客観的に説明することが何よりも重要
リアリズムとは何か?
①世界は無政府状態である。
②アクター=国家。国際組織や非政府組織(NGO)は、国際関係のアクターではない。
③国家の最大の目的は生存である。したがって、国家安全保障は国際関係の最優先課題となる。
④パワーは、この目的を達成させるための重要かつ、必要手段である。国家間の権力闘争は、戦争と平和をはじめ。あらゆる国際事象に影響を及ぼす。
無政府状態
=(国家の上に立つ権威や権力組織が存在していないこと)
主権とは…自らの意思で、領土と国民を統治する最高の権限のこと
→他国から干渉されず、
国内社会における価値の配分を自由に決定する権限
対外関係において各国政府に自国の国民を代表し、国際条約を締結する権限
リアリズムは、無政府状態が戦争を不可避なものにする根本原因だと考えた。
なぜ?
国家は、自国の安全を確保するために、自力で保障しなければならなくなる=自助
Ex)軍備増強、同盟
→国家は、何らかの手段で力を追求しなければ、自国の政治的な独立性を確保できない状況に置かれている。
しかし
パワーの追求は、防御的な意図であっても、他国にとっては無視できない脅威となる。そのため他国も、脅威から自国を守ろうとし、軍備増強をしようとする。
→自国の安全保障を確保しようとしてパワーを追求すると、他国の安全を脅かすことになり、他国もパワーを追求せざるをえなくなる。
「安全保障のジレンマ」
なぜ、生じるの?
→「意図の不確実性」
・本当のことを言っているか分からない
・今後変化するかもしれない
・政治体制
・兵器の性質(攻撃的or防御的)
国家は自国の生存を至上目標としている。国家は相手がより大きなパワーをもとうとすれば、相手に追いつこうとし、さらには相手よりも少しでも大きなパワーをもとうとする。こうして、無政府状態では、国家間のパワーは釣り合いがとれるような方向に作用する。
「バランス・オブ・パワー」
パワーの分布状況により、国際システムも3つのパターンに分けることができる。
※システムとは?…複数の要素によって構成され、相互に影響しながら、全体として一定の機能を果たしているもののこと
①単極システム
→世界に広く影響力を行使でき、他国を圧倒するパワーをもつ大国が一国のみ存在する状況のこと=他国がいかなる対抗措置もとることができないほど、強力なパワーをもつ覇権国が存在する構造
・単極安定論
覇権国と他の国家の力の差があまりにも大きいため、挑戦国が覇権国に追いついたり、覇権国の力を削ごうとする動機も持ちにくくなる。したがって、他国に残された選択は、覇権国に対して追随行動をとり、その分け前(利益)に預かるということになる(便乗行動(バンドワゴン))。
②2極システム
→主要なアクター、すなわち世界に影響力を行使できるパワーをもつ大国が、2つ存在すること
Ex)冷戦
・2極安定論
a)アクターの対立構図が明確で単純なために脅威の所在が分かり易く、また、そのために同盟関係も安定しやすいこと
b)脅威の源泉が明確な場合は敵に対する緊張感も増すために、アクターが注意深く行動すること、c)二極システムはアクター同士の相互接触が限定されるために、摩擦が起こる機会も少なく相互に尊厳を保つことができること
③多極システム
→大国が3カ国以上存在する国際システム
・多極安定論
大国の数が増えれば、国際関係がより不確実になるため、国家の指導者はかえって警戒心を増し、軍事力の行使に慎重になる。さらに、大国の数が多ければ、臨機応変に同盟を組み替えることができる。結果、戦争が起こりにくくなる。