2011.11.11(火) 記事報告 議事録
担当:川口、森田
〇アメリカに関する時事問題報告
使用した記事
『米、ASEANに接近 国防長官 初会合 安保で結束狙う』(2011.10.25朝日新聞)
≪記事内容≫
東南アジア諸国連合(ASEAN)の国防相非公式会議が24日、インドネシアのバリ島で開かれ、4年後の安保共同体発足に向けて結束を固めるための協議などを行った。最大の焦点である南シナ海問題では、米国と中国がそれぞれの塩思惑でASEANとの距離を縮めようとしており、両国との間でバランスを保ちつつ、存在感を高められるかが今後の課題だ。
「会議の目玉はパネッタ米国国防長官の参加。5か月前にASEANが中国の国防相と会った時、米国は不快感を示した。今回は米国と会う番、ということだ」
インドネシア国防相関係者は、今年5月のはジャカルタでの国防相会議で、ASEANが中国の粱光烈国防相と朝食会を開いた際の米国の反応を振り返った。
アジア歴訪中のパネッタ長官は23日、ASEANと初会合を行った。会合で長官は「関係発展のためにできることは何でもする」と秋波を送った。米国は、アジアの地域枠組みの中核に育ったASEANとの共同歩調を地域戦略の柱と位置づけている。南シナ海での中国との権益拡大の阻止を狙った海洋の安全保障での協力に力を入れたい意向だ。
一方で、ASEAN内に個別の思惑もある。
「ASEANという美女の気を引こうと、中国と米国が競い合っている。ここで我が国が主導権を握れば、国際社会で存在感が高まる」。会合後、インドネシア国防相関係者は、米中ASEANの「三角関係」を国益につなげたいとの思いをにじませた。
パネッタ長官は就任後、初のアジア訪問先にインドネシアを選定し、ASEAN会合に先立ってプルノモ国防相と会談。新型レーダーによる海上監視システムやF16戦闘機の売却についても話し合った。
マレーシアやカンボジアなどは中国からの武器調達に積極的な一方で、フィリピンなど軍事的な支援麺で米国依存が強い国もある。
南シナ海問題の当事国であるベトナムのグエン・チー・ビン国防次官は、朝日新聞との会見で「ASEAN内に(米中をめぐる)グループ分けなど起きないよう、注意しなければならない」と強調した。
→記事から現象を書き出し、その後その現象がなぜ同時進行で起こったのか、その要因を考える
≪現象≫
① 米国がASEANに接近
・23日、パネッタとASEANの初会合
パネッタ「関係発展のためにできることは何でもする」
・パネッタは会合の前にインドネシアのプルノモ国防相と会談
→主に軍事面において
② 中国によるASEANへの接近
〈対中接近〉5か月前に中国の粱光烈国防相がASEANと朝食会を開く
③ 〈対中接近〉
マレーシアやカンボジアなどは中国からの武器調達に積極的
④ 〈対米接近〉
フィリピンなどは軍事支援麺で米国に依存傾向
⑤ 〈一体性の向上〉
・24日ASEANの国防相非公式会議開催
・4年後安保共同体発足
・インドネシア国防相関係者
―ASEANと米中の関係の中で主導権を握りたい
・ベトナム国防次官
―ASEAN内で米中に分かれることへの危惧
≪要因≫
▽ゼミ生
A班 ASEANの結束
C班 ASEANが自分の存在確立の為に、天秤外交をしたい
米国の権益確保
D班 南シナ海の利益を3つのアクターが狙っているため
▽森教授
ASEAN内で格差があり、その低い方の諸国には米中の力が影響しやすい。
上の方の諸国は自分たちで主導権を握りたい。
↓
ASEANとしてのまとまりがない
4年後の安保共同体は厳しい
→協調行動はとりにくい
〇文献講読
課題文献Aaron L. Friedberg, The Future of U.S.-China Relations :”Is Conflict Inevitable? ”International Security, 30-2(Autumn 2005), pp.7-45を
A班がレジュメにまとめ、パワーポイントを用いて要約を発表しました。
以下その内容になります。
今後の米中関係を考えていくにあたり、既存の理論を細かく類型化し、具体的な説明方法についてその取るべき方法論を述べた文献でした。
理論 | 楽観的 | 悲観的 |
リベラル | 経済的相互依存
国際秩序における制度・条約 民主化 |
中国の政治体制
全体主義/不安定、変化の危険 民主主義改革運動 |
リアリスト | 限定された中国のパワー
限定された中国の目的 弱まった安全保障のジレンマ |
増加している中国のパワー
拡張している中国の目的 高まる安全保障のジレンマ |
コンストラクティビスト | アイデンティティ
戦略的な文化=グローバル化 規範は国際機関の交通を通じて柔軟化 |
個別の事件により世論が衝突
→対応が次第に硬直化 |
著者は基本的なリベラル・リアリズム・コンストラクティビズムの考え方に、「楽観的」「悲観的」という二つの見方を加え、6パターンのマトリクスを作成しました。上記の表は、それぞれ該当する考え方を持つ人物が何に着目し、どのような見解を展開するかを分析したものになります。
この表を用いて著者はさらに3パターンの説明方法を提示しています。
① 基本的優位性:ひとつの理論の優位性を際立たせる、もしくは他の理論が有効に機能しない事案を出し、その理論の妥当性を補完する
② 付加的効果:二つもしくはそれ以上の理論をすり合わせ、互いの主張を補強し合う説明展開を行う
③ 相殺効果:二つの理論が互いに長所・もしくは短所を打ち消し合う場合
来週への課題として、上記の表を用いてこれからの米中関係がどうなってゆくのか、各班この説明方法を意識しながらそれぞれ見解を提示できるよう準備してくることが課されました。