後期初回からの二回分の本ゼミでは各班で公開ゼミに向けて準備・調整を行っておりました。
これより公開ゼミの議事録をアップ致します。
公開ゼミの内容は、発表班からの問いかけのプレゼンに始まり、それに対する答えを他の班がそれぞれ議論する形式です。
以下、各班のテーマとその後の議事録になります。
〇4限 A班: 「なぜ相対的にパワーの大きいアメリカに対して日本は自ら太平洋戦争を始めたのか?」
<各班の挙げた焦点一覧>
・ハルノートに関する太平洋の利権放棄を飲み込めない→協調路線による交渉が不可能だった
・アメリカからの対日石油禁輸による封じ込め→このまま衰退するよりは今戦って少しでも有利な戦況つくり停戦交渉へ
・国内の開戦要求に応じた
<森先生の総括>
◆弱小国が強国に早期に攻撃をするに至るには
①今後、時間がかかるほど状況が悪くなる
②相手国との戦争は避けられない(戦争不可避論)
⇒①②がそろったときに早期開戦の決断が下されやすくなる
太平洋戦争の場合
①→アメリカの対日石油禁輸(1941)で今後の状況が不利になるのは目に見えていた
②→ブロック経済のせいで東南アジアとの貿易が出来ない
↓
日本も東南アジアに植民地を作り、貿易を行いたい
しかし、ハルノートで太平洋の利権放棄や満州・支那大陸・仏印からの撤廃を宣告される
↓
自国が成長する機会を封じ込められていると感じる
↓
力で行動に出るしかないと考え⇒戦争不可避論が生まれた
このように太平洋戦争時は①②の条件がそろっていたので、早期にアメリカへの攻撃を仕掛けたと考えられる。
〇5限 B班:「なぜ冷戦後、アメリカに対抗する連合が形成されないのか?」
<各班の挙げた焦点一覧>
・アメリカが形式上、条約や国連等、国際的なルールに自分を縛っている→他国には脅威と映らない
・アメリカの軍事力の規模が巨大すぎる→連合形成しても均衡できない
・通称による経済的な自国の成長利益が遮られる
<先生の総括>
◆アメリカに対抗する連合を形成しない理由
①バランシングできない
アメリカのように軍事力面で飛びぬけているような国を相手にバランシングをしても、
パワーの均衡が出来ない⇒(バランシングをしても意味が無いので)バンドワゴンする
②脅威認識をしていない
・生存を脅かされていない⇒BOP(バランス・オブ・パワー)作動せず
・ルールに沿って権力の行使をしているorルールを違反した権力の行使をしそうにないと認識されている場合
⇒・アメリカの場合ルールに自己拘束することでアメリカの信頼を高めている
・また、国内に向けても政策を国民に約束するという政治体制をもっていること
から違反した場合には国民からも非難される。
↓
政権は国民からの非難を避けたいはずなので、違反はしないだろうという予測も
アメリカがルールに従うという信頼を高める種になっている
しかし、イラク戦争後アメリカの対応に関して疑心(アメリカは本当にルールを守るのか)を持つ国もありソフトバランシング理論なども唱えられる
※ソフトバランシング理論
個別の政策に対しての非難・バランシング
(どこまでを個別とするべきかなどさまざまな論争がある)
○バランシングは今後起こるか…?
現在はアメリカの秩序中心の世界で均衡が取れているからバランシングが起こっていない
↓
しかし、中国・インドなどの成長によりそれらの国がバランシングを行う可能性もゼロではないという考え方もある