6/28(火)のゼミ内容
【1】ディスカッション
前の週の課題
「日独が戦争に踏み切った要因とは? BOP>集団安全保障になった理由とは?」
について各班ごとにディスカッションを行い、発表しました。
A班
先発国による外国市場の寡占が起きている状態で
なおかつ後発国は工業化による生産力向上で国内市場が枯渇
双方の求める利益が重なりあう
↓
利権を守りたい先発国VS利権を獲得したい後発国での戦争発生
B班
独:WWⅠの戦後処理の失敗(ヴェルサイユ条約による多額の賠償金)
国内混乱
ヒトラーの台頭(拡張主義・人種差別などのイデオロギーの広まり)
日:世界恐慌+資源確保の困難化→拡張主義(政治支配権が軍部化)
・安全保障が機能していない(米国の不参加、全会一致の法則)ことにより集団安全保障が弱くなっていた
C班
<国内要因>
WWⅠ後の世界的な協調体制
↓
日独の米英に対する妥協的な協調外交 ex)ワシントン&ロンドン海軍軍縮条約
↓
日独国内で不満が起こる
↓
拡張主義的な強硬外交を主張する軍部や政党が政権掌握
<国際要因>
集団安全保障の機能不全
独:米国の不参加→抑止が無い
日:制裁処置欠如→抑止力弱い
D班
①日独が「(植民地を)持たざる国」であった
英米仏が植民地でのブロック経済を行ったが、日独はブロック経済を行う植民地を持たなかった
→海外へ求めるしかない(拡張主義)
②米国の孤立主義
米国の不参加により連盟による安全保障システムが機能しなかった
◆森先生からのコメント
・集団安全保障の機能不全について
アメリカの不参加によって抑止力が低下したため機能しなかった
では、アメリカが加盟していたら改善されていただろうか?
→×:アメリカが参加していても全会一致の法則により、加盟国の同意が無ければ実行には移せない
アメリカが孤立主義であったことも考えると反対する可能性もある
そもそも、アメリカが国際連盟を介して日独に制裁を加える必要はなかったのではないか
圧倒的な戦力を持っていたのだから、自国で日独に制裁を与えられたはず
⇒ファクターとしては薄い
では、どうして日独は戦争に踏み切ったのか?
日独は力を増大していたにも関わらず、英米の作る国際秩序の中で
自分たちの力に見合う成長を妨げられていたから
=権利と義務が非対称
①権利の行使がされていない状態
↓
現行の秩序に対して不満を持つ
(ヒトラーの出現、日本の軍部)
②封じ込め政策
日:(意図してはいないが)強硬によるブロック経済
独:ヴェルサイユ条約
①と②が重なり日独は力で行動にでるしかなくなり戦争へと踏み切った
*秩序の正当性=権利と義務のバランスで変化する
(国際政治でも紛争などのレベルでも同様)
【2】文献報告
今週は
「冷戦史 その起源・展開・終焉と日本」
編著:松岡完 広瀬佳一 竹中佳彦
第1章 冷戦勃発
についての報告を行いました
(1)米ソ対立の顕在化
・ヤルタ会談
・トルーマンの登場
・ポツダム会談
・強硬路線へのシフト→米国による「封じ込め」政策
・コミンフォルムの成立
(2)冷戦の軍事的次元
・米国と西欧の見解の相違
米国…楽観的
西欧…悲観的
・米ソの軍事対立
(3)アジアに広がる冷戦
・日本軍敗退後のアジアの真空状態
・ドミノ理論
(4)朝鮮戦争
勃発→中国の参加→休戦
休戦の代償
米韓の同盟関係
【3】書評
3年生の花牟禮さんが「国家の中立政策が成立する条件とは何か?」について2冊の本の要約・コメント・批評を行いました。
◆課題
今週の課題は「アメリカが(軍事的に)格下のソ連に対して強硬な封じ込め政策を行ったのはなぜか?」
特に1946-47での政策を考えて要因を探る
です。セキュリティージレンマ以外での要因を考えましょう