5月31日のゼミでは、B班が『国際紛争(原書第6版)-理論と歴史』の「第2章 20世紀における大紛争の起源」についての文献報告と、「安全保障のジレンマはなぜ起こるのか?」ということについてのディスカッション、3年生による書評を行いました。
[1]文献報告
『国際紛争(原書第6版)-理論と歴史』
「第2章 20世紀における大紛争の起源」
〔1〕国際システムと因果関係のレベル
●国際システムとは?
→国家間の「関係パターン」
●ケネス・ウォルツの戦争の因果関係に関する3つのレベル(イメージ)
第1イメージ・・・「個人」
第2イメージ・・・「政治体制」
第3イメージ・・・「国際システム」
●国際システム-構造とプロセス-
<国際システムの構造>
①1極システム
②2極システム
③多極システム
<国際システムのプロセスの要因>
①国際システムの構造
②構造を取り巻き国家が協力する動機や能力を規定する文化的・制度的文脈
③国家の目標や手段が革命的か穏健的か(国家のアイデンティティと目標による)
●19世紀システムの構造とプロセス
<ネオリアリストによる構造的説明>
→【ナポレオン戦争】と【ドイツ統一】
→真理の核心をついているが、個人の役割・国内政治などの要素欠如している。
⇒19世紀のシステムにおけるヨーロッパの文化や理念の変化を考慮する必要がある。
<19世紀のシステムにおけるヨーロッパの文化や理念の変化>
→【民主化】と【ナショナリズム】のイデオロギー
⇒国家の目標の変化とそれにともなう手段の変化
⇒構造とプロセスの双方が、ヨーロッパにおける19世紀国際システムの変化と第一次世界大戦の起源を説明するのに有益である。
●国内政治と外交政策
ネオリアリズムはシステム・レベルの分析に多くをおっている
→しかし我々はシステム内のユニット内部にも目を向ける必要がある。
⇒国内政治の重要性
<2つの理論:マルクス主義とリベラリズム>
→外交政策を予見するために、これらの理論は国内機構に目を向ける。
①【マルクス主義】
→戦争の源泉は資本主義にある
→しかし歴史的経験からこの議論は有効ではない。
②【リベラリズム】
→世界は貿易を通じて戦争から遠ざかることができる
→しかし第一次世界大戦によりこの考えは無残にも打ち砕かれる。
●リベラリズムの復活
2つの世界大戦と戦間期の安全保障の失敗により、リベラルの理論は信憑性を失う。
→しかしグローバル化の進展により、リベラルの理論に対する関心が復活してきた。
<リベラル理論における3つの流れ:経済・社会・政治>
①【経済】
→貿易を重視
②【社会】
→国境を越えた人的交流を重視
③【政治】
→制度の役割を重視
→制度は、4つの点で期待を定着させる。
①制度は継続性の感覚をもたらす
②制度は互恵の機会をもたらす
③制度は情報の流通を促す
④制度は紛争解決の手段を提供する
⇒制度は安定した平和への期待が高まる環境(=「多元的安全保障共同体」)を創出する。
●国益の定義
①リアリストの定義
→国際システムのゆえに、国家には国益を定義する上で、ほとんど選択の余地がない。
⇒国際システムの中の国家の位置から、国益が定義される。
②リベラリスト・コンストラクティヴィストの定義
→国家の国内社会と文化のタイプによって定義される
●外交政策のバリエーション
同じような状況に置かれた国家でさえ、国益や戦略の定義の仕方は、時として異なる。
→システム上の相違が外交政策に違いを説明できない時、われわれは国内的原因に目を向ける。
(ex) 貿易・民主主義・革命・官僚制の行動 など
〔2〕反実仮想
●反実仮想とは?
→「事実に反する条件命題」であり、原因を確定する思考上の実験。
→反実仮想の思考上の実験が正しく有益であるかどうかを試すには、4つの基準が必要となる。
①信憑性
②時間の近接性
③理論との関連
④事実
[2]ディスカッション
テーマ:「安全保障のジレンマはなぜ起こるのか?」
前回のゼミで、「なぜ安全保障のジレンマが起こるのか?」ということについて課題が出され、各個人A4一枚程度にまとめてもらいました。今回はそれをもとに、A~D班の各グループで話し合い、最後に各班の代表者に発表してもらい、他の班そして森先生からコメント・質問をしていただきました。
「安全保障のジレンマは起こるのか?」が起こる理由は・・・
・無政府状態
・相互不信(=「意図の不確実性」)
・利権争い
など
⇒そこで今回、私たちは「相互不信」に焦点をあて話を進めていきました。
「なぜ相互不信はうまれるのか?」
この問いに関する要因として最も多くだされた意見が「政治体制の相違」でした。
しかし、はたして本当に「政治体制の相違」が相互不信をうみだすのか?
(ex)自由民主主義国家と権威主義国家
・自由民主主義国家
→世論を反映するために、合理的な選択力を失い、かえって対外政策を予測することは難しいのではないのか?
・権威主義国家
→世論などに一切左右されず、特定の人間によって政策決定がなされるので、自由民主主義国家に比べて、合理的な選択力を保有しており、対外政策は予測しやすいと言えないだろうか?
そもそも「政治体制の相違」とは何か?・・・
それは・・・「価値規範の相違」
つまり、「何が利益となり、何が損となるか?」ということ。
世界政府が存在しない世界では、国家と国家の関係は権力関係となる。
しかし、国際社会において価値観の共有がされることで、対外行動規範や対内行動規範がうまれる。やがてその規範の中で共通のルールが形成され、このルールによって相互不信を低下させることができる。
無政府状態の現代世界では、安全保障のジレンマは起こる。しかし、価値規範の共有などの条件が存在すれば、安全保障のジレンマは緩和される。
[書評]
省略
以上が今回のゼミ活動になります。
アップが遅れてしまい大変申し訳ないです。
そして分かりづらくてさらに申し訳ないです。
今後改善していきます!!
次回のゼミ活動は・・・
・C班の文献報告
・ディスカッション
テーマ:
「日米中の国家間でリアリズムとリベラリズム双方の現象が起こっている中で、今後の日米中の関係はどの ようになっていくか?」
・3年生の書評
になります♪
次回のゼミも頑張りましょう!!